『ダウンサイズ』映画結末、あなたはどう見る?ネタバレ感想
まいど、Leecaです。
本日は、マット・デイモン主演のちょっと変わった映画、『ダウンサイズ(原題:Downsizing)』のご紹介です。
Rotten Tomatoesの批評家評で51%、一般観客評では21%と不評が目立つ本作。
早速、あらすじに加え、私自身の感想もちょろっと綴ってみたいと思います。ネタバレありです。
■ ざっくり、あらすじ ■
原題:『Downsizing』
ジャンル:SFコメディ・ドラマ
脚本・監督:アレクサンダー・ペイン
製作国:アメリカ
公開:米=2017年12月、日=2018年3月2日
上映時間:135分
舞台は、世界の人口増加によってあらゆる社会問題が深刻化している、未来社会。
そんな中ノルウェーの科学者が、身長180センチなら13センチにまで人間を「縮小(ダウンサイズ)」できる方法を発見した。
一度小さくなれば元に戻れないものの、縮小世界であれば小さな蓄えでも贅沢な暮らしができるとあって、世界各国で人間縮小化は普及をみせていた。
アメリカのネブラスカ州オマハで平凡に暮らすポール(マット・デイモン)も、通常世界での生活への不満から、妻のオードリー(クリステン・ウィグ)とダウンサイズすることを決意。
先に小さくなって妻を待つポールであったが、彼女は土壇場で逃げ出してしまう。
かくして、一人「縮小世界」に残されてしまったポール。彼は、まったく予想だにしなかった寂しい生活から抜け出そうとするのだが・・・
■ ネタバレ感想 ■
▶裏切りともいえる展開の先にあるものは・・・?
「人間縮小化」と聞いて、まず私が予想した展開といえば・・・
縮小化の世界で、人々は何の不自由もない幸せな生活を送る ⇒ 通常世界の人間がトラブルを持ち込む(攻撃) ⇒ 通常世界 VS 縮小世界のバトル勃発
というものでした。
地上の「天国」と信じていた縮小世界が「地獄」と化すという物語に違いないと思っていたわけです。ダウンサイズすることのメリットを最初は押しておいて、蓋を開けたら「あ〜やっぱり代償はつきものなのね 」と、そんなお決まりな展開が待っているのだと。
プラス、通常世界と縮小世界の対比も視覚的にわかりやすく盛り込んでくるだろう、とも頑に信じていた素直な私。通常サイズのペットの猫や犬に追われる、とかそういうのも見てみたいな〜なんて。
《志村けんのバカ殿も想い出す始末》
しかーし、そんなんじゃなかった。
通常世界の人間との交わりなんて、ほんと前半の30分でおしまいです。
しかも追い打ちをかけるように、主人公ポール(マット・デイモン)は、冒頭から妻に見捨てられるわ、シングルマザーからも拒否されるわ、慣れないパーティーで変な薬飲まされてトリップするわ・・・と、全くもって予想していたような「幸せな生活」ではないときた。リスクを冒してまで小さくなったのに。
あぁ、なんでわざわざ小さくなったのに幸せになれないんだろう・・・?
ここからSF&コメディの要素が薄れていき、次第に真面目で哲学的なヒューマンドラマへとシフトしていきます。まじか。
この時点で、まぁまぁ多くの人が拒否反応を起こすはず。特に、トレイラーを見て本作鑑賞に至った人にとっては、ある種の裏切りともいえる展開かもしれませんね。
ちなみにトレイラーなしのぶっつけ本番で鑑賞した私でさえ、イライラはしなかったですが、メチャクチャな展開には笑いが漏れました。これ、トレイラー見てたら逆に失笑してた可能性はありますね。
妻に捨てられたポールが新しい女性と恋におちる、という展開は大いに読めましたが、まさか相手があんなに濃いキャラだとは。ベトナム人の元活動家ノク・ラン(ホン・チャウ)ですね。いや〜正直、本作の好き嫌いは、彼女のキャラに耐えられるかどうかにもかかってくるでしょうね。
チャーミングで面白いと捉えるか、アグレッシブでうざったいと捉えるか。差別的で居心地の悪さを感じる人もいるでしょう。私はノク・ランを演じるホン・チャウの演技に魅せられた一人ですが(ノルウェー行きの件での涙が良かった)、「ベトナムの方はこれを見てどう感じるのかな? 」と気になったりもしました。
《最右ヨリス役、ウド・キアがジグソウにしか見えない》
と同時に、ベトナムからアメリカへやってきた私の友人とノク・ランが重なり、何故かほっこりしたり。無論、友人はあんなに激しくはないので「やりすぎ〜!」と思いましたけどね。でも、本作を活気づける意味では重要な役でした。
クリストフ・ヴァルツも、これまた癖あり〜なポールのご近所ドゥシャン役で登場(上の写真中央)。彼とホン・チャウがいなければ、味気のない物語になっていただろうなと。マット・デイモンは・・・・実に平凡な役にハマッていましたね♪
▶総評
Rotten Tomatoesの評価に大いに納得。
個人的には、良いのか悪いのかよく分からない感想を抱いたので、どっちの評価にも頷けます。製作過程で浮かんだアイディアを、あれもこれもと詰め込んでしまったような散漫な印象を受けたものの、コンセプト自体はすごく面白いし、どこか嫌いになれないので・・・6/10で!!
はて、アレクサンダー・ペイン監督は、何を想ってこの映画を作ったのでしょう・・・?
本作に風刺/批判が盛り込まれていることは確かだと思います。みなが平等に幸せを享受できるはずの縮小世界にも、きっちり貧困層は実在することから「社会主義への風刺」、ダウンサイズを実施しながら滅びてしまう「我々人間そのものへの風刺」、はたまた“ノアの方舟”に乗り込む「選民=一握りの富める者たちへの風刺」などなど。
ただそのような風刺も別に説教じみておらず、実にやんわり。『ファミリー・ツリー 』などのヒューマンドラマを手がけた人情派の彼ですから、風刺はあくまで人としての「在り方」を見つめさせるための材料に過ぎないのかもしれませんね。
色々な出来事が盛り込まれていながら、これといった主張がみえない本作。ゆえに、それをどう受け取るかは観客の私たち次第でしょう。どこをどう切り取るかによって駄作にも良作にもなりうる、表現し難いボヤっとした作品だと思います。
どちらにしろ、こちらノク・ランの質問は名言!8種類もあるなんて。勉強になります、姐さん。
では最後に。
映画ラストの土砂ぶりの雨のシーンを想い出してみて下さい。
通常世界の人間たちはすでに滅びたのでしょうか。二つの世界を遮るはずの屋根から、大量の雨が縮小世界に降り注ぎます。変わらずせっせと奉仕活動に励む、ポールとノク・ランの二人。
身寄りのないおじいちゃんにいつも通り食べ物を配るポール。そして彼は、一人食事にありつくおじいちゃんの姿を、立ち止まって見つめます。一体、ポールは何を想っていたのでしょうね。
みなさんがポールの立場だったら、何を想うでしょうか?
そもそも、ダウンサイズしたいと思いますか?
もしダウンサイズするのなら、何がしたいですか?
《爆笑のクラッカーシーンと、予告で映るも劇中ではカットされたシーン》
私は、どうしても食い意地張った夢しか描けません(結論:今のままでいい)。
■ おわりに ■
以上、映画『ダウンサイズ』のあらすじ&感想でした。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、また。
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