あなたの心理を暴く映画『ハードキャンディ』ネタバレ感想&考察
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どうも、Leecaです。
急にスリラー映画が観たくなり、『ハードキャンディ(原題:Hard Candy)』を鑑賞しました。2006年アメリカ公開のサイコスリラーです。
実はこのたび初めての鑑賞だったのですが、2006年公開当時からなかなか物議をかもす映画として、注目を集めていたようです。
両極端な評価が目立つ本作ですが、いつも通り私なりの率直な感想&考察をつらつらと述べてみたいと思います。
Here we go!
■ 簡単なあらすじ ■
主人公は32歳のフォトグラファー、ジェフ(パトリック・ウィルソン)と14歳の少女ヘイリー(エレン・ペイジ)。
ジェフとヘイリーはオンラインチャット(出会い系)で知り合い、かれこれ3週間程チャットをする間柄。ジェフはヘイリーが14歳ということを知りながら、チャットを続けている。
ヘイリーは、14歳にしてはかなり賢く大人びている少女。そんな彼女を気に入ったジェフは、遂に彼女と「ナイトホーク」というカフェで会う約束を漕ぎ着ける。
そうして約束から1時間後、待ち合わせ場所のカフェで落ち合った二人。スイーツを食べながら会話も大いに弾み、二人の距離は一気に縮んでいく。
そして、ヘイリーが好きな『ゴールドフラップ』のライブ音源ファイルをメールで送ると言うジェフに、「家に聴きにいきたい!」と言い出すヘイリー。
そうしてカフェを後にした二人は、そのままジェフの車で彼の自宅へ向かう。
ジェフ宅に到着ー。
音楽を聴いているヘイリーに、ジェフが飲み物を差し出す。しかしヘイリーは、「親から怪しい飲み物はのむなと言われているの 」といい、代わりに自分がつくるからと冷蔵庫を勝手に漁りだす。
そこで二人分のスクリュードライバーを手早く作った彼女は、ジェフと一緒に乾杯。ヘイリーもお酒がまわりノってきたのか、ソファの上に乗り、ジェフに写真をとってもらうようポーズをとりながら彼に誘い文句を投げる。
カメラを手にし写真を撮ろうとしたジェフであったが、急激なめまいに襲われ倒れてしまう。
目を覚ましたジェフが目にしたのは、イスに縛り付けられた自分の身体と、自分をペドフィリアと罵るヘイリー。
豹変したヘイリーに困惑しながらも、ジェフは巧みに逃げようと試みるが・・・
■ ネタバレ感想 ■
てっきり、ペドフィリア(小児性愛者)のおっさんの襲撃の話かと思って、どんな展開になるのかヒヤヒヤしながら観ていた序盤。
いきなり眉間に皺を寄せてしまったシーンが、エレン・ペイジ演じる14歳の少女ヘイリーがカフェでティラミスを試食しているあのシーンです。32歳のジェフが彼女の名前を呼んで、彼女が振り返ったそのとき・・・
おーい、唇にティラミスがついてるよ。
こういうのを見て興奮する方がいらっしゃるのでしょうが、私にはただただ気持ちが悪かったです←笑えないほど。
いくらエレン・ペイジが可愛いとはいえ、もともとの童顔を更に引き立てるあの短髪と、当初のキャラ&服装&ボディーラインに至るまで、もろにペドの標的としてリアルに描かれていて・・・なんとも言えない気持ち悪さが全開からのスタートでした。ってペドの嗜好知らんけども。
そしてジェフの不適な微笑みよ。
眼鏡かけてインテリアピール忘れないところまで、本当に隅々までペドオーラなるものが漂ってました。ってペドオーラも知らんけども。
そういう意味では、本当にキャストはGOOD!だと思いましたね。
しかも密室での出来事で、登場人物は主にジェフとヘイリーの二人。限られた人物・設定の中で繰り広げられる「会話劇」なので、演技力が試されます。そういう意味でも、キャストは非常によかったです。
エレン・ペイジといえば、『JUNO/ジュノ(2007)』や『インセプション(2010)』のイメージが強かったので、本作でのヘイリー役は衝撃的でした。本作のほうが先の公開で、当時まだ10代だったため幼さも残っていますしね。
同じく主演のジェフを演じたパトリック・ウィルソンといえば、私の中ではホラー映画『インシディアス(2010)』のイメージが強いですが、ミュージカル映画『オペラ座の怪人(2004)』のラウル役のイメージが抜けないって方もいるのでは?いずれにせよ、本作の役柄はそれらのイメージとまるっきり違うので、ちょっと衝撃的ですよね。
なんせ、“ペド男” 呼ばわりですから・・・
それから、かの有名な(?) 去勢シーン。
当方女ですが、あまりにも痛々しいシーンだったので、
隣にいる主人に「想像するだけで辛くない?」となぜか不快感を煽る質問ばかりして、自分の気を紛らわせてたんですけど。当の主人は「まぁね〜」とうっす〜い反応でした。そんなもんなの?私が男だったら、考えただけで痛みを感じて見ていられないと思うんですけど・・・うん、想像しただけでムリ。
まぁでも、実際はクリップで留めてただけで、切り取ってなかったんですけどね。ホッ・・・よかった。ってこの時点で、完全にペド男のジェフに同情する自分が。なんてこった・・・少女ドナを殺害したかは定かではないので、さすがにやり過ぎなんじゃ?と思ったほど。
こんな風にジェフとヘイリーの心理戦から、
自分の心の内まで丸見えになってしまう恐ろしい映画ですね。
それにしても、ヘイリーってば馬鹿力。
自分よりも一回りも大きい大人を、あっちに縛り付けたりこっちに縛り付けたり。挙げ句の果てには、ジェフを首つり台にまでセッティング完了。
すごいよ、アンタ。
カフェのトイレでのお着替えシーン “腹筋チラ見せ” はこのための伏線だったのか。
この映画、後半までジェフがドナを殺害したのかどうかは曖昧なままです。だからこそ、観客もどっちに肩入れすべきか揺れてしまうんですよね。ペド男は気持ち悪いけど、ヘイリーの惨すぎる制裁もいかがなものかと。
こういう形で、私たち観客もちがった心理戦へ突入していくから、おもしろい。
ジェフがヘイリーを懐柔しようと優しげな言葉をかけたり、「自分がペドになったのは過去の虐待のせいだ!」とヘイリーからの同情を買おうとします。こういった言葉のやりとりも、人によるかもしれませんが、日常に溢れているわけですよね。そういう意味では、うわ〜こういうタイプいる!っていうのが見えて勉強になりました(え?)。
ちなみに、日本では「赤ずきん」をモチーフにしている映画であると言われている本作。しかし、製作側には本来そういった意図はなく、たまたまヘイリーが被っていたフードが赤かったことを、日本側がうまいことプロモーションに活用したそうですよ。ストーリーとうまいことマッチしたんですね。
■ ちょこっと考察 ■
◎考察1「ヘイリーの正体」
ジェフを最終的に自殺させるほどの動機ってなんだったんだろう?って。はじめから殺害されたドナの姉妹?と勘ぐっていたのですが、最後までヘイリーが何者かが明かされず。
ちょっとモヤっと感は残りましたが、彼女がドナの血縁者だったら強い動機に納得がいくけど、面白みにかけるし。まぁ、最終的にはこのオチでよかったんじゃないかなと思います。
日本のオヤジ狩りにヒントを得た作品らしいので、オヤジ狩り同様、軽いノリでの犯行?とも思ったのですが、ヘイリーが事前準備ばっちり(近所に人気のない日を考慮するなど)だったので、完全なる動機はあったのかなと。
そういう意味でも、彼女が最後にジェフに遺した言葉「被害者代表」みたいなもんが、やっぱり真実だと思います。
◎考察2「なぜジェフは元カノが来たと知り自殺したのか」
最後の最後、ジェフがヘイリーに自殺を図るよう追いつめられるシーンがありますね。ここで疑問を抱いてしまった私。いくら元カノに知られたくないとはいえ、命絶とうとまで思うかな?と。
ジェフより出世して彼の元を羽ばたいていった元カノ・ジャネル。未だに忘れられないほどの強い憎悪を抱いていたんでしょうねぇ。プライドをズタズタにされたというべきか。
そういう意味でも、大人の女性に魅力を感じられず、純粋無垢な少女たちにのめり込んでいったのかも。
カフェのシーンでもインテリを装って、好きなモノを買い与える彼の姿には「こんな俺、かっこいいだろ〜?」と言わんばかりの表面的なモノを感じたので、やはり彼はプライドの塊なんでしょうねぇ。
そうでもしないと、自分の命投げうってまでジャネルとの再会を拒んだりしないでしょうからね・・・って、あくまで予想ですが。ジェフはそんな心理状態だったのかな〜?と考察してみました。
■ おわりに ■
以上、『ハードキャンディ』のネタバレ感想&考察でした。
いかがでしたでしょうか?
途中、サンドラ・オー演じるジュディが怪しい眼差しをヘイリーに向けるシーンも、ハラハラ見所です。
ジュディに顔を見られてるし、ヘイリーが逃げ切れるのかは謎ですが・・・
一度気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
それでは!
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