英語では日本語の“色”を表せない? 英語の「色の名前&イメージ」を学ぼう。
こんにちは、Leecaです。
先日、日系アメリカ人の友人と昼食を食べにいったときのこと。彼女が5才になる息子くんを連れてやってきました。
その子はご飯を食べ終わったあとに、デザートとして色とりどりのグミをもぐもぐ。
横でみていた私は「この色なぁに?」と話しかけました。
すると“Well..this is…AQUA!”と息子くん。
Aqua・・・・アクアかぁ。その色の発想は私にはないなぁ・・・
と思ったわけです。
英語と日本語でそれぞれの色の呼び方(イメージも然り)ってやっぱり違うんだな、と実感した体験談でした。
そこで今回は、みなさんに『英語の色の名前&その色がもつイメージ』についてのお話をしたいと思います。
■ 英語の色の名前と対応するイメージ ■
日本語の名前も難易度が高いので、実際の色が知りたい方はこちらをご参照ください。
①「青系」
◎おおまかな青色の名前
青・・・blue
空色・・・sky blue
淡青色・・・light blue
濃青色・・・dark blue
水縹(みずはなだ)・・・aqua/aqua blue
濃紺・・・navy blue
藍色・・・indigo
藍紫色(らんししょく)・・・cyan blue
こうやってみても、日本語は同じ青でもそれぞれ違う単語で名前が構成されていますが、英語は“blue”と他の単語の組み合わせが多いですね。
————–
◎青色がもつイメージ
英米における青は「憂鬱・わいせつ」といったマイナスのイメージと、「希望」といったプラスのイメージを併せ持っています。
日本語でも「ブルーな気分」と言いますが、英語でも“feel blue”と表現する点、青がもつ憂鬱なイメージは共通といえるでしょう。同じ要領で、“Blue Monday(憂鬱な月曜日)”という表現もあります。
これとは対照的に、“the blue bird(青い鳥)”は幸福の象徴であり、この場合の青はプラスのイメージ。
この他日本語と全く違う点を挙げるとすれば、英語の青が持つわいせつなイメージではないでしょうか。
日本語で卑猥な映画のことをよくピンク映画なんて言いますが、英語ではなんと“blue film(movie)”と言います。ということは、下ネタのことも“blue jokes”でばっちり!なんですね〜。(男性陣はメモをお忘れなく)
うん、非常に興味深いです。
②「緑系」
◎おおまかな緑色の名前
緑・・・green
黄緑・・・yellow green
深緑・・・dark green
青緑・・・blue green
翡翠色・・・jade green
鴨の羽色・・・teal green
ライム・・・lime green
青と緑の境があいまいになっていますが、やはり名前に“green”がつきますね。鴨の羽色ってなんか素敵。こうしてみても、日本語の色名は表現豊か。
————–
◎緑色がもつイメージ
「活気・生命力」などのプラスイメージと、「未熟・経験の浅い・嫉妬」というマイナスイメージも持っているのが緑。
日本語でも英語でも緑は植物の色であって、それは若草の象徴でもあります。若草といってイメージされるのが、プラスのイメージである活気・生命力でしょう。一方で、まだ若い=未熟というマイナスのイメージも一緒に付随してきます。
● green old age(若々しい老年)
● green youth(青二才)
● green apple(青林檎)
もう一つマイナスイメージの表現として、「green-eyed〜(嫉妬に満ちた〜)」が挙げられます。私が幼い頃に愛読していた外国原作の絵本にでてきた悪役の目の色も、今思い返せば緑。なるほど〜!
よく、「どうして日本では緑の信号のことを青信号と呼ぶのか?」と外国の方たちに不思議がられるのですが、昔の日本では緑は青の分類でした。おばあちゃんたちの世代は特に緑色のものをなんでも青といいますよね。
英語の緑が日本語の青のイメージに相当すると考えれば、上に挙げた例(青二才/青林檎)もしっくり来るはずです。
あとは、日本語でも緑といえばエコ、環境に優しいというイメージが喚起されるのでは?英語でもこれは同じです。
● green campaign(環境保護運動)
● green consumer(緑の消費者)
③「黒」
◎黒色の名前
黒の英語名は、みなさんご存知の通り“black”。日本には黒といっても「漆黒・暗黒色・紫黒色」など、英語で表せない独特の色があります。逆に英語には黒に近い「smoky black」だったり、もはや緑と言っても過言でない「rich black」など、日本語の色にはない色の名前もあります。
————–
◎黒色がもつイメージ
「死・邪悪・不吉・悲しみ(哀しみ)・恐怖」といったマイナスのイメージばかりが先行する点は日本語と同じです。
● black despair(暗い絶望)
● black heart(陰険な心)
● black augury(凶兆)
● black market(闇市)
● black lie(タチの悪い嘘)
● black propaganda(偽情報)
● black list(要注意人物表)
● black eye(殴られてできた目周辺のアザ)
とにかく悪いイメージの言葉にこれでもか!という位、“black”がくっついているのが分かります。その他にも以下のような表現もあります。
● The future looks black(お先真っ暗だ)
● do a black deed(悪事をなす)
● dressed in black(喪服を着て)
と、どれもこれもマイナスなイメージばかりが目立つ黒ですが、実際はプラスのイメージもあるんです。
● be in the black(黒字である)※go in the black(黒字になる)
● business in the black(黒字財政)
アメリカでは毎年11月の第4木曜日に、Thanksgiving Dayという感謝祭があります。この翌日の金曜日のことを“Black Friday”と呼ぶのですが、街のいたるところでセールが開催されます。
人々はこの時にクリスマスプレゼントを買い溜めしておいたりするので、お店側にとっては一年のうちで最大の「書き入れ時」。つまり、お店の経営が黒字に転換する時期という意味で“black”が使われています。
④「赤系」
◎おおまかな赤色の名前
赤・・・red
銀朱・・・vermilion
紅紫色・・・magenta
「深紅・真紅・紅・深緋(こきひ)」などは日本語特有の英語にはない色でした。X-JAPANの代表作「紅」が世界的にも知られている今、この色を英語に採用してほしいと思うのは私だけではないでしょう。“Kurenai”ってかっこ良いと思うのですが。
————–
◎赤色がもつイメージ
「血気・情熱・興奮・過激・危険」などが赤のイメージとして挙げられ、基本的に赤のイメージは英語も日本語も近いものがあります。英語では左翼のことを“red”ともいいますね。
先ほど“be in the black(黒字である)”と紹介しましたが、blackをredに置き換えると赤字になります。あとは、日本語で恥ずかしさや怒りから「赤面する」という表現がありますが、英語でも“face turns red with shame”と赤色で表現します。血色を感じさせるという意味では「red-lipped(赤い唇をした)」なんて表現もありますね。
● see the red light(危険に気づく)
● in a red‐hot passion(ひどく興奮して)
● be taken red‐handed(現行犯でつかまる)
● red‐rimmed eyes(赤く泣きはらした目)
上記のように赤のイメージは英語でもほぼ同じですが、日本語の「赤の他人」「真っ赤な嘘」に相当する英語表現には“red”は使われていません。
これは、そもそも日本語の赤という言葉が「明(アカ)るい」から来ているからだとか。よって赤には「まったく・すっかり・あきらか」等という意味もあり、「赤の他人=まったくの他人」や「真っ赤な嘘=あきらかな嘘」という表現に“赤”が使われるようになったそうです。
④「白系」
◎おおまかな白色の名前
白・・・white
乳白色・・・milky white
真珠色・・・pearl white
英語特有の色の名前でおもしろいのが、「ghost white」や「snow」です。日本語にもあったらいいなと思う名前です。
————–
◎白色がもつイメージ
日本語で白といえば純白のウェディングドレスなど、いいイメージばかりではないでしょうか?
これは英語でも同じで「純白・真実・潔白」など黒とは真逆のポジティブなものばかり。
● a white lie(罪のない嘘/善意の嘘)
● white water(澄んだ水)
● white glass(透明なガラス)
● that’s white of you(それはあなたには無害だ)
● hang out the white flag(白旗をあげる/降伏する)
● It is down in black and white(書いたものがものを言う)
などなど。
” Your face is pure white (顔が青白い)”や“White lips(青白い唇)”など血色のない状態にも“white”が使われます。日本語では青なのでここは微妙に違いますね。
⑤「黄色系」
◎おおまかな黄色の名前
黄色・・・yellow
クリーム色・・・cream yellow
硫黄色・・・sulfur yellow
蜂蜜色・・・honey
むぎわら色・・・straw yellow
くちなし色・・・maize
玉子色・・・pale yellow
山吹色・・・golden yellow
日本語で「菜の花色・レモン色・飴色」と聞けばなんとなくイメージができる単語も、英語にはない名前です。料理のレシピなんかには“玉葱を飴色になるまでじっくり炒める”という表現があるくらい、日本人には根付いている色の概念ですが、英語では“(golden) brown”と茶色で表現しますね。
逆に英語特有の名前には「banana yellow / school bus yellow / dandelion」なんていう可愛らしいものがありました。確かにアメリカのスクールバスの色ってイメージしやすいし、こういうちょっと面白い名前には遊び心さえ感じます。
ちなみに、英語の信号の色は黄色=yellowではなく、日本語でいう琥珀色の“amber”ですのでご注意を。
————–
◎黄色がもつイメージ
英語の黄色がもつイメージは「臆病・裏切り・卑怯」といったなんともネガティブなものばかり。日本語だと黄色って「活発・明るい」といったすごくポジティブなイメージがあるので、これは意外です。
● yellow alert(第一次警戒警報)
● yellow press/journalism(扇情的な出版物/ジャーナリズム)
● yellow looks(妬ましそうな目つき)
● He has a yellow streak in him(彼は臆病なところがある)
● They are too yellow to fight(彼らは臆病でとても闘えはしない)
⑥「ピンク系」
◎おおまかなピンク色の名前
ピンク(桃色)・・・pink
桃花色・・・peach blossom
石竹色・・・Chinese pink
フクシャピンク・・・fuchsia pink
シクラメンピンク・・・cyclamen pink
日本語の「薄紅梅・薄紅・薔薇色」などに対応するピンク系の色は英語名には見当たらず。逆に英語だと「bubble gum / baby pink / salmon pink / rose pink / hot pink」など日本名にはないものが沢山あります。
でも実際のところ、日本のファッション雑誌なんかを読んでいると、「サーモンピンクが流行中」等と書いてある場合もあるので、こういった色の概念も時代とともに広がっていっているのでしょうね。
————–
◎ピンクがもつイメージ
日本語同様、「健康的・活発・極致(物事のトップを極めた状態)」といったプラスのイメージが強いです。“blue”が卑猥なイメージをもつと上述した通り、“pink”には卑猥というイメージはありません。
● He is in the pink(彼はすごく元気だ)
● Her face become pink(彼女の顔があかくなった)→日本語でいう紅潮かな?
● His English is the pink of perfection(彼の英語は完全無欠だ)
● He is the pink of perfection(彼は実に申し分のない人だ)
上の例のように、“主語+be動詞+the pink of perfection”で「主語は申し分がない」と訳せます。
ピンクには卑猥なイメージはないと言いましたが、「性」を連想させる言葉には使われるようです。「a pink‐collar job(伝統的な女性の職業;秘書など)」がそれに当たる表現です。
この他「a pink evening paper(左翼系の夕刊紙)」など、政治思想が左寄りの人を表す場合に用いられることがあるそうです。左翼は“red”、右翼は“white”ときて、ピンクは中間色なので覚えやすいかも。
⑥「紫系」
◎おおまかな紫色の名前
紫・・・purple
すみれ色・・・violet
フクシャパープル・・・fuchsia purple
アメジスト・・・amethyst
ベルフラワー・・・bell flower
ワインカラー・・・wine color
日本語の紫色は本当にいろいろな種類があります。何とも表現しがたいくすんだ紫色なんかもあって、「京紫・二藍・花紫・菖蒲色・大正藤」なんかは勿論英語にはない色たちです。情緒溢れる日本の風景が目に浮かんでくるようです。
一方、英語の“purple”はとにかくはっきりとした明るい色が目立つ印象があります。英語のpurpleは日本語の紫よりも、やや赤みがかった色のことを指すようです。微妙な色の違いにも注目すれば、下の例文のイメージも沸きやすいかと思います。
————–
◎紫色がもつイメージ
「高貴・豪華・帝王」といった華やかなイメージと、「俗悪・おおげさ」といったマイナスイメージも併せ持ちます。日本語の紫も同じようなニュアンスがありますね。
● to marry into the purple(玉の輿にのる)←なるほど!
● be born in the purple(王家に生まれる)
● a purple passage (文章の中の華麗な一節)
● He went purple with rage(満面に朱をそそいで怒った/怒りで顔が真っ赤になった)
⑥「灰色系」
◎おおまかな灰色の名前
灰色・・・gray
銀灰色・・・silber gray
鋼色・・・steel gray
石盤色・・・slate gray
————–
◎灰色がもつイメージ
「あいまい・ぼんやり・陰鬱・寂しい・老成した(円熟した)」というイメージがあります。決して明るいイメージはないことが分かりますね。大体のイメージは日本語と同じといえるでしょう。
日本語でも“物事の境が明瞭でない様”をグレーといいますが、英語の“gray”にもこのニュアンスがあります。
● a legal gray area(法的にはっきりしない領域)
● gray hair(白髪)←老成のニュアンスからwhiteなのでしょう
● gray experience(老練)
● It’s gray outside(外は曇っている)
● in the gray of dawn(夜明けの薄明かりの中で)
● the gray office routine(味気ない会社のきまりきった仕事)
■ ま と め ■
長文、最後まで読んでいただきありがとうございます。
同じ色を見ていても違う景色(イメージ)が浮かぶというのは、文化的背景なんかも関連してくるので興味深いですね。
日本では虹色は7色と決まっていますが、他国もそうかといったらそうではありません。
英語、ドイツ語では一般的に虹は6色という認識もあるそうですし。
今回ご紹介した色の違いが分かるとより英語感覚が身に付くと思うので、ぜひ参考にしていただければと思います。
You may also like・・・
・ケーキにお菓子、なぜアメリカ人はカラフルな食べ物を好むのか?【真面目に考えた】
・アメリカでは全然通じない”和製英語”リスト10【食べ物関連】
・英語でビジネスマンとは言わない!?悲しいほどに通じない和製英語10選【仕事関連】