海外留学・移住の体験者が語る。英語にできない日本語特有の言い回し・表現5選!
1年弱のカナダ留学&国際結婚でのアメリカ移住を通して、ぶち当たった壁。
「日本語のこの言い回しを英語にしたいんだけど、いい言葉がみつからない」
日本語をそのまま英訳したところで、ネイティブスピーカーは「どういう意味?」と困り顔をこちらに向けてくるという場面に何度も遭遇してきました。
辞書で調べてみるものの、納得のいく答えが見つからず・・・・
もやもやもやもや。
でもある日、当たり前のことに気づいたのです。
それは、そもそも日本語と英語は全くの別言語である、ということ。
そうなんです。違う言葉なのだから、お互いの言語に対応しない言葉・表現があって当然なんですね。
こんな当たり前のことに気づくのに、少々時間がかかってしまった私です。
皆さんにも、このことを大前提として心に留めて頂きつつ、英語学習に取り組んでいただければと思います。
では、前置きはここまでにして、“日本語特有の表現・言い回し”を見ていきましょう♪
①空気を読む
まず、この「空気を読む」という文化はアメリカに存在しないからこの表現を使うことさえない、と本気で思っていた私。
「アメリカ人は口に出してなんぼの文化だよ。」
まぁそれは間違いないでしょうが、それでもやはり人間同士ですから、相手の“言わんとしている事”を推し量る場面はそれなりに訪れる訳です。
そして疑問が浮かびます。
そういえば、「空気を読む」って英語でどう言うんだろう・・・?
答えは直訳の“ read the air ”・・・ではなく、“read between the lines”。
▶例文:You have to learn to read between the lines more.
(君はもっと空気を読むことを覚えないといけないよ。)
“between the lines=行間”という意味なので、read between the lines を直訳すると日本語の「行間を読む」に対応する表現になります。
アメリカ人は言葉ではっきり伝えるという文化的背景を考えれば、この表現は実にしっくりきます。そもそも行間を読むということ自体、前提に言葉の存在があるからです。
一方、日本は言葉を発さずとも伝わる“空気・雰囲気”を読み取る文化なので、「行間を読む」と「空気を読む」どちらの表現も存在するのですね。
いや〜面白いですね!
———
その他、いわゆる「KY」や「空気が読めない」を一言で表す単語が “clueless”。“clue”という単語が「ヒント・手がかり」という意味なので、それがlessの状態(ない)のことをいいます。
▶例文:He is completely clueless as to what we want.
(彼は私たちが何を要求しているのかさっぱり分からない=KYだ。)
※as to〜=〜に関して
上のように“clue”を使って、以下のような言い回しも可能です。
▶例文:Don’t you understand the situation we are in? Get a clue!
(私たちが置かれてる状況わかってないの?空気よんで。)
直訳すると「手がかりを受け取って」、つまり「どういう状況かわかって」=「空気よんで」となります。ここでの“clue”は手掛かり・ヒントという意味なので、同じ意味の“Take a hint”でもOKです。
②お邪魔します/失礼します
アメリカに住む日本人の大先輩と、先日電話で会話していたときのこと。「それではまた。失礼します。」と言って電話を切った私。
なぜかその時、私ってつくづく日本人だな〜と思ったわけです。
その先輩のお宅に伺った際も、「お邪魔します。」は自然と口から出てきます。
日本人にとっては日常的なこれらの表現ですが、非常に日本的な言葉だと思うのです。
なぜなら、欧米社会には相手にへりくだるという概念がないでしょうから。
よって、英語の場合は次のような言い回しを覚えてしまいましょう。
▶電話を切る際の「失礼します」
⇒相手から電話を受けた場合は、「Thank you for calling.Have a nice day!(お電話ありがとうございます。よい一日を!)」でばっちり。自分から電話をかけた場合は「Thank you. Bye! ( Have a nice day. )」。
▶お宅にお邪魔する際の「お邪魔します」
⇒該当表現はないが、「Hello, How are you?(元気ですか?)」等と普通にあいさつをすればOK。そして帰り際(初対面の場合なんかは最初でも)に、「Thank you for having/inviting me.(誘ってくれてありがとうございます。)」と感謝の気持ちを伝えればスムーズ。
③切ない
「切ない」って言葉の響きが何故か好きなのですが、いざ英語にしようと思うとかっちりハマる言葉がないのが現実です。これこそ切ないです。
辞書で調べると、単純に“sad”や“sorrowful”など「悲しい」の域を出ない単語ばかり。
そこで手掛かりを探すために、そもそも「切ない」とは何なのかを自分なりに考えてみることにしました。
身動きがとれない状況の中、心が切れる程何かを想い、悲しさ・恋しさで胸がしめつけられる状態。
これが私が思う「切ない」です。
悲しみが生み出す美しさというか、幸福感なんかも混ざっている複雑な感情だと思います。(くさい?)
「あ〜あの恋は辛かった。でも今となってはいい想い出だと思えるの。」(←誰)というような。
個人的には“sweet sorrow(甘い悲しみ)”とか“bittersweet(ほろ苦い)”なんかが切ないのニュアンスを含んだ素敵な表現だなと思います。
▶例文:Parting is such sweet sorrow. by シェイクスピア
(別れ際はとても切ない。)
▶例文:The movie is a bittersweet love story.
(この映画は切ない愛の物語である。)
あとは、“hopeless(希望を失った)”や“longing(思い焦がれている)”、“heartrending(胸の張り裂けるような)”の合わせ技もできそうですね。
▶例文:This is a song which expresses a hopeless longing of love
(これは恋心の切なさをうたった歌である。)
④面倒くさい
「面倒くさい」を辞書で引いてみると“bothersome”や“troublesome”が真っ先にでてきます。
しかし実際には、私がネイティブスピーカーがこれらの言葉を使っているのをあまり聞いたことがありません。
ではなんと言えばよいのでしょう?
カジュアルな場面で使える「面倒くさい」には“a pain in the neck/ass/butt”が挙げられます。
▶例文:She is being a pain in the neck today.
(今日の彼女は面倒くさい。)
▶例文:Doing the dishes is a pain in the ass/ butt.
(皿洗いって面倒だよね。)
よく聞くのは“a pain in the ass”ですが、“ass”はちょっと汚い表現になるので、これは友人・知り合いに対してのみ使用するよう控えてください。他人・目上の方には無難に“a pain in the neck/butt”を使えば大丈夫です。
この他には、“(such) a hassle“も便利なフレーズです。“hassle”は「困難なこと」を意味する単語なので、このフレーズは「手間がかかる面倒なこと」に対して使われます。
よって先ほど挙げた“a pain in the 〜”は単純に気分が乗らない・やりたくないことに対して使われることからも、微妙なニュアンスの違いがあるようです。
▶例文:To be honest, it is a hassle for me to speak English.
(正直言うと、英語を話すのが面倒/億劫です。)
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「面倒くさい」を英語で何と言うのかがイマイチ分からない。
かと言って調べるのも面倒くさい。
あぁ、こんな自分が一番面倒くさい。
と、ずっと面倒くさがり屋だった私ですが、「面倒くさい」が英語で言えなかったことで私が会話で「面倒くさい」を言うことがなくなり、結果フットワークが軽くなりました。(思わぬ産物)
でも時々使いたくなるので、やはり覚えておいて損はないですね!
⑤本音と建前
アメリカに住み始め、本音ではっきり自分の意思を伝える必要に迫られることがあります。
もちろんアメリカ人だって本音を隠すケースもあるでしょうが、ビジネスにおいてなんかは特に、はっきりと要求を初めから伝えるというのが主流なのではないでしょうか。ですから「本音と建前」という言葉はまさに日本人に根付いた言葉だと思うのです。
しかしいざ「本音と建前」を英語で説明するとなると、ぴったり一言で言い得る言葉がみつかりません。
■「本音」・・・心(腹)の中で思っている本当の気持ち
■「建前」・・・公の場での取り繕った気持ち・態度
このように意味を噛み砕いてみると、次のような言い換えができると思います。
—-
①名詞で表す
⇒ your real feelings & words
(本当の気持ち=「本音」& 単なる言葉=「建前」)
⇒ your real intentions & the face you show in public
(本当の意図=「本音」 & 公の場での顔=「建前」)
②SV形式で表す
⇒ What she actually feels & what she is supposed to say
(彼女が実際に感じていること=「本音」 & 社会が求める意見=「建前」)
“What she says is not what he really thinks.”という簡単な文章でも表せますね。
■ まとめ ■
日本語をそのまま英語に直訳すると、へんてこな表現になってしまうこともしばしば。
それでも“伝えたい事はなにか”に重点を置いて考える癖をつければ、完璧ではなくても伝えられることが分かりました。
私もまだまだ勉強の身。
みなさんも、一緒に楽しく英語を学びましょう!
See you!
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