ミキサーが欲しくなる映画『サプライズ』ネタバレ感想
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みなさん、こんにちは。
今回は2011年のアメリカのスプラッターホラー映画、
『サプライズ(原題:You’re Next)』の簡単なあらすじ&ネタバレ感想を。
またもや邦題がミスマッチで残念なんですが、本作自体はとても愉快な映画です。あと、臨場感を与える音楽もよかったですよ。
監督はアダム・ウィンガード。
『ブレア・ウィッチ(2016)』を手がけた監督ですね。2017年Netflixで公開された『デスノート』も監督したそうですが、日本の原作とだいぶ違うという噂がちらほら。
と、前置きはこのぐらいにして本題へ入りますか。
■ 簡単なあらすじ ■
クリスピアン(A・J・ボーウェン)は恋人エリン(シャーニ・ヴィンソン)と一緒に、ミズーリ州にある人里離れた別荘へ車を走らせている。エリンは、彼が元・文学教師であった頃、アシスタントを務めていた元生徒。
そんな二人が別荘に向かっている理由は、クリスピアンの両親の結婚35周年をお祝いするためである。クリスピアンら以外にも、兄夫婦、弟カップル、妹カップルの総勢10人が集まることになっている。
無事みんなが到着。
自分たちの為に集まってくれたことに、母親オーブリー(バーバラ・クランプトン)も感激を隠せない。
一見、再会を喜んでいるかのような一家であったが、夕食の席で家族関係のほころびを見せ始める。
きっかけは長男ドレイク(ジョー・スワンバーグ)からクリスピアンへの嫌味な口撃であった。ドレイクは幼いころから、クリスピアンをデブなどと侮辱していた為、もちろんクリスピアンは彼のことをよく思っておらず、両者の溝は深まるばかり。
二人の口論が白熱する中、長女エイミー(エイミー・サイメッツ)の恋人タリク(タイ・ウェスト)が急に席を立って窓のほうに歩みを進める。
と、その瞬間。
窓外からクロスボウの矢が飛んできて、タリクの頭を直撃。そのままタリクは亡くなり、長男ドレイクも背中に矢を喰らってしまう。
突然の出来事にパニックになる一家。
そんな中でも、エリンは冷静に家族を別室へと導く。
こうして幸せな一時を過ごすはずだった一家に、突如突きつけられる惨劇。
ここから謎の襲撃者との闘いが始まる。
■ ネタバレ感想 ■
うん、おもしろい。
観終わったときに笑みがこぼれるほどに。
いきなりネタバレですが、エリンが反撃に出るという展開がサプライズです。
スカッと爽快。こんなサバイバル女子いるかよ!ってツッコミ入れたくなるんですが、そんなの忘れるくらい見ていてカ・イ・カ・ン(最近多用)な映画であります。
男性が主人公だったら、ツマラネ!ってなりますが、本作は女性版ランボーみたいで最高です。
この映画はたしかにスプラッターホラーなんでしょうけど、初めから笑わせてもらえる本当に愉快な映画です。
開始早々、隣人の微妙なラブシーンが映し出され「なんだよ、これ (笑)」と腑抜けしつつ、隣人の男エリックを演じるラリー・フェセンデンが、どうしてもジャック・ニコルソンと重なり・・・・なぜか笑いが漏れます。
からの、明らかに怪しすぎる三男坊フィリックス(ニコラス・トゥッチ)の恋人、ジー(ウェンディ・グレン)の登場。黒髪ボブ(おかっぱ)が似合う美女ですが、タバコ片手に恋人の母親へのあいさつもまともにしない。見るからにヤンキー、確実に“裏”がありそうな分かりやすい伏線になっています。
そして長男ドレイクに矢が刺さるシーンでは、私も思わず犯人に加勢してしまったんですが。人の悪口ばっかり言ってるから罰が当たったに違いない。なんにせよ、背中に矢が刺さったままのドレイクの姿が間抜けでおかしくて・・・ここでもひと笑い。あんまり痛そうじゃないのもいい味だしてます。
何より爆笑させてもらったのは、長女エイミーが助けを求めるために全速力で外へ走り出すシーン。
外にクロスボウ持ってる何者かがいるこの状況下で、外に出ることが危険なのは明らか。そこでエイミーを止めようとするエリンが本来正常なはずなのに、実の家族からの後押しが凄くてもうカオス。
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エイミーも首の骨ぽきぽき鳴らして気合い満々なうえ、お父さんも「お前ならできる!」とか言い出すし、なんなんこの家族、状態。そしてエイミーがドアに向かって一直線に駆け抜ける。「あ〜ドア出たらすぐ殺られるわ 」と思った次の瞬間、張られたワイヤーで首切って死亡。あまりにも呆気ないdeath。
ほ〜ら、言わんこっちゃない。
クロスボウの矢ではなくて、ワイヤーというのは予想外でしたけどね。ワイヤー切断殺人は痛々しくて怖いはずが、このシーンはコミカルで軽やか。あれ、これコメディかな?
この辺りから、次男坊&三男坊の様子が変だな〜と思い始める。いくら仲が悪いとはいえ、家族が目の前で苦しんでいるってのにあまりにも反応が薄すぎる。とくに慌てる様子もない。
ここで二人ともあやしいな〜と思いつつ、単純に反応が薄い人たちなのかも、と切り捨ててしまった私。なんてったって、先述の爆笑シーンの時点で、この家族の思考回路がおかしいことが分かったので。
という流れで、いい感じに思考をかき乱されていったのでした・・・・
あとドレイクの妻ケリーが、何を思ったか母親オーブリーが殺害された部屋に一人留まり、ベッドの下に気配を感じて覗きこむシーンがあります。どう考えてもアウトな行動なんですけど、気になっちゃたんでしょうねぇ。
案の定、キツネのマスクの犯人(うちの柴犬に似ている)が隠れてましてね。ケリーはパニック状態で外に走り出すわけです。余計危ないだろ!とツッコまずにはいられなかったんですが、パニック状態になったら私も走り出しちゃうのかな〜とも思ったんですよ。
でも、ドアに張られたワイヤーちゃんとくぐってるんですよね。
そこは冷静なのね。
そして飛び出しケリーを追って走り出すドレイクでしたが、背中に刺さった矢がワイヤーにひっかかる⇒痛みが襲う⇒気絶という、なんとも情けない展開に。もうドレイク、最高。
このあと三男の彼女ジーが、ドレイクの傷口の止血をしているカットが映し出されますが、なんとなくジーが関係しているなっていう雰囲気が。
一方ケリーは、ジャック・ニコルソン似の隣人に助けをもとめに走るが・・・彼ももう死んでいるというお決まりの流れが待っています。すぐに追ってきたヒツジマスクの犯人に顔面パンチ⇒斧フルスイングを喰らい、ケリーも死亡。
そして外に助けを求めにいったきり、いっこうに戻ってこないクリスピアン。「自分の身は自分で守ってな」的なセリフを吐いて恋人を残す時点で、やっぱり彼が怪しいとこの頃から思い始めました。ただそこから深読みする間もなく、戦闘モード全開のエリンに釘付け。←罠にハマる観客のひとりと化す
エリンがトラのマスクを被った犯人から斧で襲われそうになったとき、台所から持ってきた肉叩きで返り討ちしたあのシーンで、完全にこちらのエンジンも全開に。いや、エリン強すぎでしょ。え、そういう趣味あったの?ってくらい豪快に叩きのめします。
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以来、キッチン用品コーナーで肉叩きをみるたび、エリンを想い出す私です。
そしてエリンの応酬を、ただただ突っ立って見つめる三男坊カップル。ここで、あれ?この二人も怪しい・・・と思い始める。やり過ぎエリンに引いているというよりは、明らかに敵に応戦する気がない感じなんですよね。ジーは元々怪しさ満点でしたが、三男フィリックスまでグルだったのか!?と、ここで勘ぐり出します。
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それが確信と変わったのが、父親ポールが殺されるシーンですね。あ〜やっぱり〜!と。ある程度予想がつくのに、面白さは消えないのが不思議。
この時点でクリスピアンは忘却の彼方。
生き残りをかけたバトルに挑むエリンへ声援を送る私。なんなら、もう自分がエリンにでもなった気分。
幼少期に妄執的な父親からサバイバル術を叩き込まれた彼女ですが、もう、お父さんに感謝ですよね。ここまでくると。
教室に黒板消しを仕掛けた日々を彷彿とさせる、「必殺斧落とし」やクラシックな「釘刺し板の刑」にはアッパレ。板に関しては、ちゃ〜んと死角になるところに設置してるし、とにかく賢い(いざという時のために覚えておこう)。
あとは機転を利かせた「フラッシュ目くらましの術」でキツネマスクを丸太で撲殺もよかった。そんな仕掛けに留まらず、「鬼の鉄拳」も繰り出しちゃうからステキ。あ〜かっこいい。
でも何より、最高だったのはあのシーンではないでしょうか?
“ 脳天ミキサー ”
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いや〜笑った。お腹抱えて笑いました。
頭にミキサーのフィリックスの姿、そのままフィギュアにしてほしいような。
たしかにね、家でミキサー常用していてたまに思うんですよ。これ何かの間違いで自分がミックスされたら怖いなと。皆さんも一度や二度、考えたことありますよね?あれ、ないのかな。
どちらにしろ、まさかそれを劇中で見られるなんて思ってませんでした。
ミキサーシーンが面白いのは言うまでもないんですけど、ジーの「脳天ナイフ」も最高でしたね。スカっとしました。
と、ここで忘却の果てにいた男、クリスピアンがようやく登場します。
あ〜〜〜〜!共謀だったのか、とここで分かる。←ニブすぎる
意気地なしで外で時間をつぶしていただけっていう。一番むかつくタイプの人間。そのうえ、最後にはエリンを上手いこと口車にのせようとする往生際の悪さ。うん、イラっとしますね。
そこに、エリンが首と目にナイフをグサっ!!!
エリンてば最高。そんな潔さが好き。
が、直後に駆けつけた警察に銃撃されてしまうエリン。
このままいけば彼女が不利になるかも・・・・とちょっと不安に駆られる中、エリンを撃った警察は家に入ろうとドアを開けようとします。
ここで、エリンも私たちも思い出します。
そう、ドアに仕掛けた「必殺斧落とし」の存在を。
まだ発動してなかったんですよね。
うわ〜〜〜〜〜開けないで〜〜〜〜!!!!!
あ、開けちゃった。
斧が勢いよく振り下ろされ・・・・浮かび上がる「You’re Next 」の文字。
そして映画は幕を閉じます。
警察は確実に斧にやられたでしょうが、その後の展開は謎に包まれたまま。
あーっ最高♡
テンポよく、飽きのこない映画でした。あーおもしろかった。
ただ、やっぱり最後のシーンを活かすためにも、タイトルは『You’re Next 』がベストだと思うんですよね。邦題の『サプライズ 』は、どうもミスマッチ感が否めません。なにもサプライズって全面に出さんでも、という感じ。日本版のDVD&Blu-rayに、マスクの3人の他にエリンもちゃっかり写ってて、もはやサプライズでもなんでもないし。
無差別殺人にみたてた冒頭でのご近所さん殺害シーンも、このタイトルあってこそ活きてくるのになぁ、なんて。最後はちょっと邦題へのぼやきで終了です。ほほ。
でも映画はおもしろいので、おすすめです。未見の方は、よかったらチェックしてみて下さいね。あと、お母さん役のバーバラ・クランプトンが美人です♡
では、最後まで読んでくださって、どうも有難うございました。
さようなら〜!
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