心理ホラー映画『It Comes at Night』ネタバレ感想/解説&あらすじ
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みなさん、こんにちは。
もう2017年も終わりに近づいてきましたね。2017年はホラー映画豊作の年でしたね。
今回は、2017年にアメリカで公開した映画『It Comes at Night/イット・カムズ・アット・ナイト』のあらすじ&感想をご紹介したいと思います。自分なりのプロット解釈(解説)もすこし。
ネタバレありですのでご注意ください。
■ 簡単なあらすじ ■
得体の知れない謎の病原体がはびこる世の中、ある一家が森の中のコテージでひっそりと暮らしていた。一家は外の空気に触れるとき、伝染病に感染しないよう手袋とガスマスクを装着し、身の安全を確保している。
家族構成は父ポール、母サラ、息子トラヴィス、そして祖父バッド(サラの父親)の4人。
しかし、伝染病にかかって苦しむ祖父を一家はやむなく殺すことに。
そしてポールがバッドを銃殺・遺体を燃やし、トラヴィスはその様子を見届けながら悲しみに暮れる。
翌日の夜。
ある男が家に侵入したところを、ポールが機敏に捕える。そしてその夜は男を外の木へロープで縛り付け、伝染病に侵されていないかどうかの観察をすることに。
どうやら伝染病にはかかっていないと判断したポールは、警戒しながらも男へと近づき話を始める。そして男の名はウィルで、妻(キム)と小さい息子(アンドリュー)がいることを知る。
やがてウィルは、家族のためにも新鮮な水を手に入れるのが目的で、人気のなさそうなポールの家に侵入したことを打ち明ける。一触即発の雰囲気の中でもウィルは、自分たちには十分な食糧があるからポールたちの水と交換をしてくれないか、と交渉を持ちかける。
生き残るためにも、ウィルからの交渉をのんだポール一家。そしてウィルの指示のもと、ポールはウィルの家族のもとへと車を走らせる。
数日後、ウィル一家を引き連れて帰宅したポール。
謎の伝染病の恐怖の中、見知らぬ家族同士でのサバイバル生活が幕を開ける。
■ ネタバレ感想 ■
まずこちらの映画、評価もそんなに悪くないし、トレイラーを拝見し、どんな映画なんだろってちょっと期待して観た映画でした。
映画のタイトル(原題)は「It Comes at Night 」。
直訳すれば「それは夜にやってくる 」なのですが、一体何がやってくるんだい!?って感じで想像力を掻き立てられたわけです。
初っぱなから、重々しい雰囲気。
みんなガスマスクして何かから身を守っている様子、そして身体に斑点ができているおじいちゃんにサラが「大丈夫よ 。」と話しかけた後、ポールとトラヴィスの二人で森の中へ運び出す様子が映し出されます。
トレイラーの時点でも想像できますが、ここで世界の終わりを描いていることが分かります。アポカリプス(apocalypse)というシナリオ。
ほんで一家はおじいちゃんを銃殺&燃やしてしまう・・・トラヴィスが横で無気力に立ちすくむ中、ポールがあまりにも呆気なくおじいちゃんを殺してしまうもんだから、この人頭おかしいのかな?って思い始めた冒頭部分。
この時点では、
きっと、蘇ったじいちゃんが夜に一家を襲うんだろう
という、ゾンビあるいはゴースト系の内容を予想。きっとみんなが寝静まった夜に襲撃っていうオチに違いないと。
ここで早くも、「それ=おじいちゃんって展開だったらないわ〜」と、興味半減。
いやいや、まだ始まったばかりだし落ち着こう、と自らに言い聞かせ、もう少し先を観てみることに。
その後ウィル一家が加わり、2つの家族が同じ屋根の下、ポール一家の厳格なルールに従って暮らし始めます。
交流が増えるにつれ、すこしずつ互いに心を開きはじめみんなの顔に笑顔が戻っていくんですが、悲しいかな。互いに100%は信用していないんですよね。
そこでやっぱり気に障るポールの態度。
得体の知れない伝染病から自分の家族を守ることが最優先なのは解るけど、それにしても見ていて痛々しいほどの過ぎた防衛心。
そんなに頑になったところで、「世界の終焉」というシナリオは変えられないのに・・・・なんてちょっと斜め上から物申したくなる感じ。
にしても・・・・
「それ 」は一体いつやって来るんだい?
いやぁね、こちとら「それ」待ちなんですよ。
友人との待ち合わせで1時間以上待たされても腹は立たない。でも来るのか来ないのかハッキリしてくれないと、どうもやりきれなくなってくる。今更来ないとか切ないからやめてね。そんな気持ち。
そう、来るの来ないの?どっちなんだい!(聞き覚えあるセリフ)
しかしそんな私の想いをよそに、夜にやってくるのはトラヴィスを襲う悪夢くらいで、いつまで経ってもゾンビやらゴーストやらはやって来ない。確かにじいちゃんは夢の中でやって来た。
って、あれ?夜にやってくるのってトラヴィスの悪夢?得体の知れない恐怖?
てことは、もう「それ」お迎えしてたパターンかな、これは。
なんてこった・・・そう頭を抱えた矢先。
森の中で、犬のスタンリーが何かに向かって吠えたかと思ったら、そのまま一直線に森の奥へ走り消え、後日、祖父バッドの部屋で怪我を負った姿で発見されるという展開に。
何者の仕業なのかは不明ですが、真夜中におこった出来事。
あとは悪夢にうなされ寝付けないトラヴィスが、夜に一人で白黒の絵を描き始めたり。
たしかに夜に色々起こっているみたい。
果たしてトラヴィスが描いた絵は、夜にやってくる「それ」だったのかは知る由もなく。加えてトラヴィスの単なる空想なのか、実際に彼には見えていたのかさえ曖昧なまま物語は淡々と進んでいきます。
そして置いてけぼりの私。
いっこうに「それ」はやって来ない。
少なくとも目に見える形では・・・・
そして、伝染病にかかった様子のトラヴィスに、母サラが「大丈夫よ。」と語りかける場面にさしかかり、
まさかここで終わらないよね?と思ったら、
すぐ終わった・・・・・・・・へ?
「ちょ、待てよ。」
最終的に自分がキムタクになって終了。
久々に消化不良で、やり場のない想いが溢れ出た映画でした。
人によっては「ちょ、金返せよ。」ってなるレベル。
脚本・監督のトレイ・エドワード・シュルツも、あえて明確なストーリーを提示せず、あくまで視聴者側に解釈を全面的に委ねる作品にしたと語っています。だから見る人によっては、とてもイライラが残る作品だそう。
そう、監督は確信犯だったのです。まさに私は彼のいう視聴者像にぴったりハマったわけですね。
落ち着いた今、こうしてレビューを書いているわけですが、観終わったときの動揺はひどいもんでした。しんどかった・・・世間がこの映画に与えられている評価を知って、「こんなにレビュー高いなんて信じられん!」とまで思ったくらい。
でも、その後じっくり考えてみると、少しずつ謎解きぽいものも楽しめたような。いや、ないな。
ざっくりいうと、中途半端だな・・・・っていうのが正直な感想です。すみません、自分の感情に嘘はつけません。
言えることは、確実に見る人を選ぶ映画。
そう、おそろしいほどに(そういう意味ではホラー)。
どんでん返しとか、そういう大掛かりな仕掛けはなく、淡々と進み淡々と幕を閉じていきます。
「あの世への扉」として赤いドアを描写したにしても、それも全然怖くなくて、どこで怖がるべきだったのかと自問する感じ。監督もこちらに解釈を委ねまくりなので、もやもやも行き場を失ったまま。
もしや、極限状態で追いつめられた人間が、秘めていた凶暴性を露にするってところが怖いのか。そうだったのか!?たしかに、ウィル一家はただ立ち去りたいって言ってるのに、それさえも許さないのポールは狂気の沙汰でしたが。
とはいっても・・・・
謎解きのためにもう一回観よ〜ってはならない映画でした(何周してもここに落ち着く)。
■ ちょっとした解釈(解説) ■
①伝染病について
劇中、下の絵画が映し出されましたが覚えていますか?
ピーテル・ブリューゲル作「The Triumph of Death(死の勝利)」という1562年の絵画です。
骸骨たちが、人間たちに逃れられない「死」を突きつけているような描写がみてとれます。まさに、だれも「死」から逃れられない、映画のエンディングの伏線的絵画でしたね。やっぱり逃れられないんだったら、「死」を受けいれて人として全うな死に方したほうがいいよな〜なんて。
伝染病に話をもどすと、全身に黒っぽい斑点ができている様子から黒死病/ペスト(Black Death/Plague)の一種かなと思います。
目全体が真っ黒に変化&黒い血を吐く描写があったので、現代版ペストみたいなもんでしょうね。
そして感染経路は、空気だけではなさそうですよね・・・いつも完全防備ってわけではなかったし。
ウィル一家が飲み水を探していた点、ポールの家で浄水器(?)を使用していた点からも、血以外にも「水」も感染経路になるのかなと。犬のスタンリーがどうやって感染したかは定かではないですが、犬だったら外の水知らずに飲んじゃうだろうし。
②扉を開けたのは誰?
ある夜、アンドリューが死の赤い扉を開けた開けないでもめる一同。
トラヴィスがアンドリューを見つけた時点で扉は開いていたと証言したとおり、アンドリューがきっと扉を開けてしまったのだと思います。だから感染してしまったのでは(スタンリー経由か)?
ウィルとポールがバトる最後の場面でも、しきりにアンドリューに「目を開けるな!」ってウィルが語りかけていますし、あの夜、アンドリューが感染した可能性は高いですよね。
そして全ての場面に立ち会ったトラヴィスも漏れなく感染し、いずれ一家全員感染してしまったというオチだと解釈しました。トラヴィスにサラが語りかける場面では、彼女がマスクをしていないのでポールもサラも手遅れの状態だったのでしょう。
■ おわりに ■
以上、『It Comes at Night 』の徒然レビューでした。
個人的にはなんともいえない後味の悪い映画でしたが、みなさんの感性だったら違う捉え方があるかもしれません。
ということで、今回はここまで。
それでは、また〜!
コンバット越前「せっかくだから、俺は赤の扉を選ぶぜ!」
たかさん、
はじめまして&コメントありがとうございます。
返信が遅くなって申し訳ありません!
そして・・・ゲームに詳しくないので調べたんですが、これはコンバット越前のゲーム中の名(迷)言なのですね!笑
勉強になります!笑