【なぜ多い?】日本と全く違うアメリカのホームレス事情について考えてみた。
こんにちは、Leecaです。
今回はちょっと真面目なお話をしたいと思います。
題して『アメリカの闇シリーズ』。
ちょっとかっこつけてシリーズとか言ってますが、まだ1回目でございます。そして2回目以降のお届けも未定。ほほ。
ただ日本人としてアメリカにいると、「おい、アメリカ!どうしてなんだー!?」と気になることが沢山ありまして。その中には皆さんが疑問に思うこともきっとあるはず。というわけで、シリーズ化予定(希望)であります。
今回はアメリカ、とりわけサンフランシスコのホームレス事情に迫り、自分の考えもちょっと綴ってみたいと思います。
< もくじ >
・SFのホームレスの現状
・ホームレスの増加 When&Why?
・改善策はあるのか
・日本のホームレスとの違いとは?
・まとめ
■ SFのホームレスの現状 ■
(SFってサイファイみたいですが、一応サンフランシスコの略でごわす)
サンフランシスコを訪れたことのある方は、お分かりかと思いますが・・・サンフランシスコのホームレスの数は、間違いなく違和感を覚えるレベルです。District(地区)によって差はあれど、いたる通りにホームレスの方たちがかなり群がって生活しています。
路上の真ん中で寝っころがっていたり、数人グループで集まって話していたり(時にはBBQしてます)、通行人の後を追いかけて物乞いしていたり・・・とみんな堂々と自由に生活している印象。それだけホームレスが多い証拠なのでしょう。
アメリカには、サンフランシスコよりも多くのホームレスを抱える大都市はあります。言ったら、ロサンゼルスやシアトルなんかのほうがホームレス人口は多いそうです。しかし、サンフランシスコ(NYも同様)はとにかく小さい。つまりホームレスの人口密度(per square mile) がものすごいことになっている!だから一際目立つわけだと納得。
ではさっそく、2017年調査サンフランシスコにおけるホームレス人口データをみてみましょう。
出典:SAN FRANCISCO HOMELESS COUNT & SURVEY 2017comprehensive report
2013年からみるとやや増の計7,499人がホームレスということが分かります。うち、半数以上の4,353人はシェルター外での路上での生活者。
そして前述のとおり、地区によってホームレス人口に差があるようです。このデータをみると、マップ右上のDistrict SIX(第6地区)がもっともホームレスの数が多い場所のようですね。ってさらって言ったものの、1地区に3,655人ってすごくないですか?しかもスペースせまい・・・
出典:SAN FRANCISCO HOMELESS COUNT & SURVEY 2017comprehensive report
この第6地区あたりは、有名なユニオンスクウェアもありますし、大企業が立ち並ぶエリアでもあるのでザ・観光地。観光客はホームレス人口の多さにすぐ気づくはず!
私もつい先日、友人が日本から観光でアメリカに来ていてサンフランシスコで合流したのですが、友人が泊まるホテルの前で集合ということで行ってみると・・・・まさにこの第6地区。OH NO! ですよ。集合時間が遅かったのもあり、ゲトー感漂う異様な空気でした。
中には絡んでくる人もいるのが現実。夜のサンフランシスコをぷらぷら歩くのはおすすめできません。
友人も「サンフランシスコのイメージが崩れた・・・」と嘆くほどショックを受けた模様。そりゃ〜これだけホームレスの人たちで道を占領されていたら、そう思うのも無理はないかなと。私も初めて訪れたときは衝撃でしたから。(無知すぎた)
それで観察していて気づいたこと。まず、アジア系のホームレスはほぼ見かけません。大体が白人の方や黒人(アフリカ系アメリカ人)の方たち。サンフランシスコはアジア系が多いので、たまたま見かけなかっただけで、実際はもっといるのかな?と気になっていました。
それで見つけたのが、こちらのデータ。
出典:SAN FRANCISCO HOMELESS COUNT & SURVEY 2017comprehensive report
いや、やはり。当たっていた・・・・
灰色が示すのは、サンフランシスコ全体における人種別の人口割合(2017現在)です。対して緑色のグラフは人種別のホームレス人口を表しています。
つまり、アジア系住民の人口は全体の34%と多いのですが、ホームレス人口は4%と少なめ。
一番対照的なのが黒人(アフリカ系アメリカ人)の方たちのグラフで、全体人口比6%であるのに対し、ホームレスが34%とその割合が非常に高いことがわかります。白人の方のホームレス人口も多いですが、全体人口の割合からすればまだ小さな差ですね。
この他にも様々な調査データがあったのですが、どうやら問題はとても複雑で深刻なようです。
■ ホームレスの増加 When&Why? ■
はっきりとサンフランシスコのホームレス増加理由は断定できませんが、これまでの歴史に沿って考えると幾つか原因が分かりそうです。(※参考サイト)
① 60年代
ヒッピー文化の最盛期。サンフランシスコはヒッピー文化発祥の地といわれていて、自由でオープンな風吹く街。多様な人々(ホームレスのみならず)を受け入れる土台が築かれてきた。
②70年代
ベトナム戦争から、多くの兵士らがサンフランシスコの港に帰還。中には戦争体験からPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い、最小限の支援しか受けられず将来の見通しがたたず、仮にサンフランシスコ出身でなくてもそのまま残る者も。
③80年代
ローナルド・レーガン元大統領(元カリフォルニア州知事)によって、カリフォルニアの精神衛生施設が閉鎖され、何千人もの精神不安定者が路上をさまようことになる。
④90年代〜現在
テック関係をはじめとする世界的企業の進出によって、超高所得者がサンフランシスコに居住。それに伴い、サンフランシスコ(とその周辺エリア)の地価・物価が大高騰。サンフランシスコにおける、億万長者の人口比率はアメリカの中でもトップの一つ。が、その裏には家賃を払えなくなりホームレスになる人も。
——–
以上のような流れで、ホームレス人口が増えてきた背景が考えられるでしょう。
2013〜2017年の4年間を対象に、ホームレスの人たちはどうしてホームレスになったのか(要因)についてまとめたデータがこちらです。
出典:SAN FRANCISCO HOMELESS COUNT & SURVEY 2017comprehensive report
2017年「失業」が22%とあり、やはり職を失うことが最大要因。次に多いのがなんと「アルコール・薬物使用」の15%でこれはアメリカの深い闇をそのまま表していますね・・・・
そして「家族・友人との衝突(口論)により追い出された」ケースが13%、「立ち退き強制」が12%、最後10%が「離婚・別居・破局」となっています。
悲しいこと&特筆すべきことに、長年サンフランシスコに居住していた人たちが、「立ち退き」を強要されるケースは珍しいことではなくなってきているのが現状です。
サンフランシスコの地価大高騰により、(法外な)家賃の値上げを要求され、立ち退かざるをえなくなった夫婦の悲痛な叫びもニュースで目にしました。
また職を失った挙げ句、高い家賃が払えず車上生活を送ってる家族のドキュメンタリーも先日TVでみました。まだ10代の学生のお子さんがいらっしゃって、それは胸が締め付けられる内容でした。本当に寝床があるだけ恵まれているなと思います。
アルコール・薬物依存に関しては、自己責任だ!と一蹴することは簡単ですが、どうやらそんなに単純なことでもないようです。アルコール・薬物依存の両親に育てられ、虐待され、気づけば自分も親と同じ道(依存)をたどってホームレスになっていた・・・・・私自身は同じ環境に育っていないので、無責任なことはいえません。
かと思えば、「ホームレスは儲かるから」という人も中にはいるらしく(しかも家があるのにホームレスを装う人までいるそうな)・・・・・これには絶句!!
——–
サンフランシスコにホームレスが多い要因の一つに「安定した気候」も挙げられるでしょう。もちろん冬も寒いですが、西海岸の他の地域にはもっと寒いところもあります。(国は違いますが北上してカナダ・バンクーバーのホームレスの人は秋冬は大変そうでした)
夏なんか、サンフランシスコは暑すぎず温暖な気候なので過ごしやすいと思います。やっぱり気候は大きなファクターだと思います。
それから、サンフランシスコではシェルター・食事の提供、職業訓練や医療にいたるまで、様々な支援が受けられるようです。長年ここに住み着いているホームレスの方にとっては、離れられない待遇 ⇒ 結果、ホームレスが減らないというループを辿っているのかも。
■ 改善策はあるのか ■
これをすればいい!という改善策があればいいのですが、現状はもっと厳しいようです。
ただ、劇的にホームレス人口を減少させることに成功した唯一の州が実在します。それはユタ州。その具体的な対策はいたってシンプル。
ホームレスに家を与え、カウンセリングを行った。
これだけだそうです。ホームレス生活によって起こりうる問題の対策にかけるお金よりも、ホームレスの人々に住居を提供するお金のほうが安いらしい。
「それならば、サンフランシスコも!」と思うのですが・・・・
地価・家賃が天井知らずで高騰しつづけるサンフランシスコで、同じ対策をとるのは難しい。一人に一部屋提供するにも莫大なお金を要しますもんね。
というわけで、具体的に即効性のある改善策はこれ!と言えないのが現状。(結局)
沢山のお金と時間を費やし、すこしずつ出来ることから・・・というところでしょうか。
いずれ、サンフランシスコには億万長者しか住めなくなる日も近いかもしれませんね。(やめて〜)
■ 日本のホームレスとの違いは? ■
※筆者体験に基づく、ざっくり統計より
①物乞い
日本:あまり物乞いはせず、自分で空き缶を集めたり基本的に労働をしている印象。
アメリカ:バンバン物乞いする人が多い。なんなら後を追いかけてくることも。段ボールの切れ端にメッセージを書いて、信号待ちの車にむかって物乞いするケースも(そこそこ稼げるなんて話も)。
②居住地
日本:基本、人目に触れないようにひっそり生活。公園・河川敷・ビルの一角などなど。
アメリカ:街のいたるところにいる。見た感じ、自由かつ堂々と生活している。
③身なり
日本:そこまでボロボロの服を着た人は珍しい。(たまにいると目立つ)
アメリカ:ボロボロの服の人がいっぱいいる。実際、シャワーが浴びれる環境でも浴びたがらない人も多いとか。
と、なかなか日本びいきな内容になってしまった感じは拭えないのですが、意図的にという訳ではなく、本当にアメリカと日本のホームレスの方たちの生活スタイルは違うと思います。いうなれば、アメリカのホームレスはもはや市民権を得ているという感じ?
アメリカで物乞いされるのにはもう慣れつつあるのですが、はじめて声をかけられた時には戸惑ったことを覚えています。日本では1度だけ、駅の中で話しかけられたくらい。
そのときも私はとくに深く考えず、食べ物と小銭を渡したんですが、日本だと「物乞いに何かをあげるなんて」という強い拒否感を抱く人も少なくないのでは?
アメリカはキリスト教の価値観が根付いている国だけあって、他人に分け与えるという考えが人々に浸透しているからか、日本よりも物乞いに施しを与えることに抵抗がない人が多い気がします。って人によりますが。(なんでもそう)
あと、日本には「恥の文化」なるものが存在します。他人の目が前提にあるこの物の考え方があるから、日本のホームレスの人たちは社会から一線を画してひっそりと暮らすことを好むのかもしれません。身なりに気を配る人が多いような気がするのもそういった理由からかもしれませんね。
■ ま と め ■
いかがでしたでしょうか?
サンフランシスコを含む、アメリカの大都市を訪れた方なら一度はショックを受けるであろう、ホームレスについてのお話でした。
私もアメリカ人の主人の身に何かあったら、あるいは見捨てられたら(私がうざすぎて)どうしよう・・・と他人事とは思えません。
そのくらい、サンフランシスコ(Bay Area)はなんでも異常に高いです。アパートの小さなワンルームが30万前後と聞いたときには、腰抜かしました。
人間、いつ何が起きるか分からないですからね。明日が我が身!(自慢げにいうな)
自分の身は守りつつ、なるべく自他共に優しい人間でありたいものです。
はい、今日は真面目に考えてみました。(っていつも真剣ですよ!)
長文、最後までお付き合いいただき有り難うございます。
これからもどうぞ宜しくお願いします!
See you!
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欧米のホームレスは職業だからね
それで金銭を得て暮らせるんでしょ
観光地に多いのもそういう理由
ネコタさん、
たしかに結構な額を稼ぐホームレスは多いみたいですね。ネコタさんのおっしゃる通り、観光地にいるホームレスなんかはそうかもしれません。一方で辺鄙な所にもチラホラ見かけるので、ちょっと実態が気になってしまいます。。
コメント有難うございました^^